カレンダーにドロミテの写真が載っているとすると、そのほとんどが黄色のホテルのような建物かトレチーメ・ディ・ラバレードを背景としたミズリーナ湖、あるいは3つのピークが雄雄しいトレチーメ・ディ・ラバレードではないでしょうか。 「ドロミテ」という言葉を知らない人でも、これらの写真を見せると見たことがあるような写真だという人が案外います。 ミズリーナ湖やトレチーメ・ディ・ラバレードの名前まで知っている人は残念ながら本当に少ないようです。
 ミズリーナ湖
 アントルノ湖
 トレチーメ・ディ・ラバレードのハイキング
 ミズリーナ湖とトレチーメ探訪のヒント集
ミズリーナ湖
ミズリーナ湖 Lago di Misurina はコルチナ・ダンペッツォ Cortina d'Ampezzo から国道48号線を東北東に14km行ったところにあります。 コルチナの町は本当にドライバー泣かせの町で、至る所が一方通行になっており町の中をぐるぐる回らされます。 「Misurina」の標識の方向と「Passo Falzalego」や「Venezia」など全く違う方向の標識が同じ方向に表示されているのに頻繁に出くわします。 ただひたすらその標識を信じ、「Misurina」という標識に従って運転すれば良いのですが不安になります。 この国道48号線、コルチナから7〜8km行ったあたりに木製路面で交互通行の仮設橋がありますが、ここまできてはじめて道が間違っていなかったとほっとするありさまです。 コルチナから12kmほど行ったところでアウロンツォ Auronzo へ向う48号線と分かれ北に進路を取ります。 程なく黄色の建物が道の右側に、前方にはトレチーメ、そしてミズリーナ湖が見えてきます。 道路の西側に沿っていくつかのホテルがあり、道路の両側にある数百台の駐車スペースは夏のピーク時にはいっぱいになりスペースを探すのに苦労します。 それが10月になると開店しているホテルもほとんど無く、わずかに湖北端のホテル1階にあるスーパーの軽食コーナーで、コーヒーとまずいインスタントのスパゲッティーが食べられるというような様変わりです。Lago di Misurina
湖畔をのんびり一周するのもおすすめです。 また湖面に映る逆さトレチーメや、黄色い建物をバックに写真を取るのもここの楽しみです。 1999年および2000年に訪れたときには天候がすぐれず、よい写真をお見せできないのが残念です。
なお、ミズリーナ湖へはコルチナから国道51号線をドッビアーコの方へ19kmほど行ったところから南に7km下るという道も取れます。
アントルノ湖
ミズリーナ湖の北端からほんの百メートルほどドッビアーコ Dobbiaco/Toblach の方へ向ったところを右に折れていく道路があります。これがトレチーメ・ディ・ラバレードへの道です。この道を1.5kHotel Lago Antornomほど登ると急にあたりが開け、正面にトレチーメ・ディ・ラバレードが、そして右手には小さいがすばらしい湖、その道をはさんだ左側に小さなレストランが見えてきます。 これがアントルノ湖 Lago de Antorno 1866m とホテル・ラゴ・アントルノ Hotel Lago Antorno です。
1984年10月初めてこの地を訪れた際、眼前に広がるすばらしい景色に、思わずここに車を止めました。 湖畔のレストランに入り部屋が空いているか聞いたところ空いているということでした。 そのときすぐに予約しておけば良かったのですが、それをせずにトレチーメ周遊ハイキングをしてしまい、帰りがけに再度たずねた時にはすでに満室となっており、大変残念な思いをしました。
1999年10月に訪れたときには例年より早く訪れた冬のせいか夕方の到着にもかかわらず、ドゥーシェ付きの屋根裏部屋に泊まることが出来ました。 1泊朝食付きでLago di Antorno with Tre Cime di Lavaredo50,000リラでしたから決して安いとは言えませんが、アントルノ湖畔の絶好のロケーションを考えると捨てがたい宿だと思います。 2000年夏にもぜひここに泊まりたいとファックスを流したのですが、残念ながら満室で泊まれませんでした。 それではとミズリーナ湖畔の宿も3件ほど当たってみたのですが、やはりどこも満室でした。そのためガルデナの谷のサン・クリスチーナからトレチーメを見て、マルモラーダ Marmolada のふもとのマルガ・チアペラ Malga Ciapera までの行程を1日でこなすことになってしまい、同行の家族から批判を浴びてしまいました。 これら2つのロケーションのどちらもだめな場合には、少し遠いのですがアウロンツォ Auronzo あたりはどうかと思います。 ミズリーナ湖から約24kmほどの村です。 私もアウロンツォを訪れたことは無いのですが、宿もたくさんあるようですし、料金もリーゾナブルなものが多いようで、コルチナよりずっと良いように感じます。 次には私もトライしてみようと思っています。
トレチーメ・ディ・ラバレード

アントルノ湖から快適な舗装道路を2〜3km走ると、トレチーメの有料道路のゲートに着きます。 ここで30,000リラ(往復)を払い、ゲートを通過するとすぐに急坂のつづれ折れとなります。 こParking Areaの坂を登りきると何層かに分かれた駐車場につきます。 夏には何百台かの車で埋まり、係員の指示に従って路上に駐車することもあります。 ここには無料の仮設のトイレがいくつかありますが、この先は小屋にある有料トイレがあるのみです。
トレチーメ・ディ・ラバレード Tre Cime di Lavaredo/Drei Zinnen はその名前が示すように3つのピークからなっているのですが、駐車場そばのアウロンツォ小屋 Rif. Auronzo からラバレード小屋 Rif. Lavaredo へ至る南東側からはその3つのピークはあまり良くわかりません。 ドロミテの象徴とも言うべきトレチーメの良く知られた写真は北側から取られたものす。 北側から見たその3つのピークは左から右にチマ・ピッコラ Cima Piccola/Kleine Zinne 2856m、チマ・グランデ Cima Grande / Grosse Zinne 2999m、チマ・オベスト (西峰)Cima Ovest /Westliche Zinne 2973m で、チマ・グランデは1869年にパウル・グローマン Paul Grohmann により初登頂されています。
先に述べたようにトレチーメはぜひとも北側から眺めていただきたいわけですが、出来ればトレチ−メの周りを一周されることをお奨めします。 おおむね4時間から5時間見ておけば1周出来ます。 ちなみに私は1984年に右回り(時計方向)、To Rif. Lavaredo1999年に左回り、2000年にはラバレード小屋経由でロカテッリ小屋までの往復をしました。 以下に左まわりでこのコースを説明していきます。
駐車場の脇のアウロンツォ小屋(2320m)の横の未舗装の平坦な道を東に向って歩き始めます。 程なく左に小さな教会堂があります。 このあたりからは右側はるかかなたにアウロンツォの村が見えます。 また良く見るとロック・クライマーがトレチーメの壁に取りついているのが見えるかもしれません。 景色を堪能しながら約40分ほどでラバレード小屋に着きます。 ここでは簡単な食事が出来る他、外側にあるトイレが500リラ硬貨で利用できます。
イタリアの登山道にはイタリア山岳会の白‐赤‐白の道標と登山道の番号が岩に書き込まれているので安心してハイキングが出来るわけですが、この道はルート・ナンバー101にあたります。
ラバレTre Cime di Lavaredo from from Forc. Lavaredoード小屋の手前からトレチーメの斜面を2545mの鞍部 Forc. Lavaredo まで15分。 ラバレード小屋の脇を通り、車道の終点まで行ってそこから鞍部に登ることもできます。 この鞍部まで来ると西側および北側の視界が一気に開けてきますが、まだお馴染みのトレチーメの形は見えません。 右側の写真は鞍部の少し手前から取ったものです。
ここから北にロカテッリ小屋 Rif. Locatelli 2405m を目指します。 通常の登山道の他にその上方をモンテ・パテルノ M. Paterno /Paternkofel の西側斜面にに沿って平行している道もありますが、こちらは多少の経験者向きです。 一般道を5分も下れれば背後にすばらしいトレチーメの姿が見えます。 健脚で無い方もこの辺までこられると良いと思います。 鞍部から約45分でロカテッリ小屋に着きます。 ここからは右下方にランギ・デイ・ピアニ Langhi dei Piani/Bödenseen という池が見えるますし、小屋の背後のRif. Locatteri小教会堂や北側の景色を堪能できます。 また小屋のテラスからのトレチーメ方向の景色も言うまでもなくすばらしいものです。
ここからアウロンツォ小屋への分岐は一般道の急坂を先程通った鞍部の方へ少し戻ったところにあります。 このルート・ナンバー105の登山道は、トレチーメの前のすり鉢状の荒野を南西に向い、トレチーメの西側裾部分をまくようにして1時間半ほどで駐車場に戻ります。

1999年10月5日、私は朝起きるとうっすらと積もった雪のアントルノ湖の周りを木々の間から朝もやの間に見え隠れするトレチーメを見ながら1周しました。 そしてトレチーメの駐車場に向いました。 アウロンツォ小屋からラバレード小屋への登山道はうっすらと雪をかぶっており、私がこの日の最初の訪問者だということがわかりました。 チーマ・ピッコラのふもとの鞍部への道にさしかかると次第に雪は深くなり、鞍部では20から30cmも積もっていました。 寒さもひとしおとなってきましたので非常用に持ってきたタイベックのジャンパーをはおり、引き返すべきか思案Tre Cime di Lavaredo from the terrace of Rif. Locatelliにくれていたところ、コルチナから来たという2人組のパーティーに出会いました。そこで私は彼らについていくことにしました。 パテルノ山の西側斜面に沿っていく登山道はことの他積雪が多く、息を切らしながらTo Rif. Locatelliルート105の分岐までたどり着きました。 上から見たところ105方面の積雪は今来たパテルノ山斜面に比べると格段に少ないように見え、またイタリア山岳会の標識もしっかりしていることから、熱い紅茶をご馳走になった後、彼らとはここで別れ、一人で周遊ハイキングを続けました。 トレチーメに近づき登りが多くなると下山家を自認する私のペースは落ち、かなり後から来た小学校にあがるかあがらないかの子供まで連れた家族連れのパーティーなどに抜かれはしましたが、無事駐車場に戻ることが出来ました。
かつて1984年10月にガルデナ峠 Psso Gardena / Grödner Joch からチール Cir をまいてケデュール谷 Val Chedul /Chedultal をセルバ Selva/Wolkenstein まで下りたときに5cm程度の雪を経験しましたが、このような積雪は全く予期していませんでした。 山の天候というのは怖いもので、2000年夏にはまたまた良い経験をしました。 これはマルモラーダの項をご覧下さい。
さて、私がこの年にトレチーメを周遊できたのは、1)軽登山靴ではあるがしっかりした靴をはいていたこと、2)雨具兼防寒用具としてデュポン社のタイベック Tyvek 製のジャンパーを持っていたこと、そして3)熟練したハイカーに出会えたことがあげられると思います。 1)については前日にコルチナのコープで買ったものでした。 2)については2000年夏にドロミテのみならず東京で経験した局地的集中豪雨に学び、次回からはタイベックのつなぎを持っていこうと思います。 なぜタイベックなのかというと、まず軽いこと。 そして雨も風も通さないこと。 そして病院用のディスポーザブル衣料としてデザインされるその価格の安さです。

ミズリーナ湖とトレチーメ・ディ・ラバレード探訪のヒント集

コルチナ・ダンペッツォとコープ

私にとってコルチナはどうも好きになれない町です。
コルチナには1984年、街中のホテルで1泊、そして郊外のアパートメントに1泊しましたが、特に街中のホテル(3星)には大変失望しました。 料金は高い、部屋は良くない、食事もたいしたことが無いと3拍子そろってブーイングなのです。
車で行くと一方通行に本当に閉口します。 目的地のすぐ近くまで来ていてもなかなか目的地に到達できないのです。 それと駐車場を探すのも大変です。見つかってもその通路部分の狭さにまた泣かされます。
ただコルチナを通過してしまうのもなんとなくもったいない気がして、いつも教会近くの駐車場に苦労して駐車し、コープに行きます。 ここはちょっとしたデパートで、食料品をはじめなんでもそろいます。 ここでは登山靴を2回買いましたし、スーツケースもデザインが気に入ったのがあれば買おうと、必ずそのフロアを訪れます。

ミズリーナ湖とトレチーメ探訪に便利な宿

私のお奨めは何と行ってもアントルノ湖湖畔のホテル・ラゴ・アントルノ(Tel /Fax 0039 043539148) です。 次にミズリーナ湖畔の宿も捨てがたいと思います。 ただしどちらも大変人気があり、夏のハイ・シーズンには1年前には予約をされることをお奨めします。 というのもこれはサン・クリスチーナのカルメンで聞いた話ですが、多くの客がチェック・アウトの際に翌年の予約をしていくからです。 どちらも取れないときはアウロンツォを試してみてはいかがでしょうか。 次のホームページ゙からコルチナ、アウロンツォ周辺の宿の検索および予約が出来ます。

http://www.dolomiti.it/eng/alberghi/bl.htm

ロカテッリ小屋

ロカテッリ小屋の情報は次のサイトを参照下さい。

http://www.enrosadira.it/dolomiti/locatelli.htm

地図

Casa Editore Tabacco 社の「Dolomiti di Sesto / Sextener Dolomiten」 (シート番号010) 1:25,000

レンタカー

Hertz は次の場所にあるようです。 Dolomiti Garage、 Corso Italia 186-188, Cortina D'Ampezzo (Telephone: 0436 860923) くわしくはハーツにお問い合わせ下さい。